会社の成長痛を乗り越える為の1冊/0to100 会社を育てる戦略地図_山口 豪志著
一言で「会社で働いている」「会社を経営している」と言ってもその規模や事業内容で全く違います。
僕自身、大学卒業後に働いた株式公開企業から、自分の親がやっている製造業に転職した時に、会社規模や業務内容の違いで同じ会社でもここまで変わるのかと戸惑ったことがありました。
そしてそこから少しずつ会社も大きくなり、本社を移転し売上が増えてきた時に、今度は会社の規模が変わってきた時に会社の実態と合わない部分が出てきて言わば成長痛のようなものが出てきたところでした。
その個人的状況の中で、この本はベンチャーで新規立ち上げを実際に行い、転職した後も立ち上げフェイズから成長フェイズまで全て体験している著者の経験が元になっているので、すごくリアルな羅針盤になる一冊でした
会社のフェイズに合わせて変わるプロセス
その内容も、著者の山口さんが仮説を立てて検証し再現性のある法則を見つける科学的アプローチに則って見つけた、会社のカタチや事業の形態が異なっても新しい事業を興してそれを大きくして行く過程には共通の原理原則があることが簡潔にまとめられています。
この本では、会社の成長段階(フェイズ)に合わせて6つのフェイズに分けて展開されています。それぞれのフェイズに為すべきテーマとチェックリスト、対象規模などが設定されています。
〈→0〉ゼロマエ 起業前夜(1人)
〈0→1〉ゼロイチ 顧客の発見(1〜3人)
〈1→10〉イチジュウ 商品の完成(3〜20人)
〈10→30〉ジュウサンジュウ 採用と組織づくり(20〜50人)
〈30→50〉サンジュウゴジュウ 新規事業開発(50〜100人)
〈50→100〉ゴジュウヒャク 上場に向けて(100人〜)
体感的にも業種によって多少のブレはありますが、むしろそのブレを整える意味でも効果があると思っています。
会社とは誰のものなのか?共感とは?
そしてもう一つこの本で大切だと思うことがあります。それは「会社とは何か?」「事業には何が必要か?」という普遍的な問いに対する自分の答えを用意しておく重要さでもあると思っています。
製造業の傍らで0から新規事業を立ち上げて4年になるのですが、想いと共感だけでは事業は成り立たないけれど、想いと共感が無ければ絶対に成功しないことは感じています。本著でも
“共感が無ければ事業としての成功はあり得ない
共感があってはじめて想いもアイデアもお金をいただくに値する「事業の種」となる“
とあり、商品やサービスが立ち上がったばかりの信頼のない状態ではいかに共感が大切かというのも腹落ちしやすく説明してあります。
他にも、自分の仕事は「ビジネスのテーマを一言で表す」と当たり前のようではありますが、なかなかできていないことも、自分の中で整理することができました。
よく会社は誰のものか?という問いは投げかけられ、株主のモノ、社員のモノなどの答えが多い中で、はパナソニックの創業者である松下幸之助さんは「企業は社会の公器である」と答えていて、山口さんも「社会のモノ」と答えています。
“法人は単なる物質的なモノではなく、生身の人間が動かす有機的な存在、そして社会かに生かされている存在。と考えているので、会社は誰のものかという問いに対しては「社会のモノ」と答えます“
会社はきちんと運営して行くことで、オーナーや経営者だけのモノではなくなりもっと広い意味の公器となり存在価値が高まっていきます。そして僕自身も一緒に仕事をしたり、取引をしていく相手としてもそういう考え方の企業と仕事をしていきたいと思っています。
面白くて魅力的になるには意識が大切
ITベンチャー企業などの派手なイノベーションがニュースやネットで流れ、製造業などの旧来のビジネスにイノベーションが起こらないかといえば、そんなことはないと考えています。
イノベーションにもいくつかの方法があります。イノベーションプロダクトイノベーションと、プロセスイノベーションがあり、どんな会社でも、取引のシガラミや考え方の壁を超えていけば、必ず面白くて魅力的な会社になれるんだろうなと思いました。
そして、この本を読んで感じたのは、魅力的ないい会社はたまたまそうなるわけではなく、成長していい会社にして行こうと思わなければ会社は変わらないということでした。
会社を経営したり、マネージャー以外でも会社で働く全ての人にオススメな一冊です。
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